【芸能】中谷美紀 性同一性障害の主人公を熱演 WOWOW連続ドラマW「片想い」

女優の中谷美紀(41)が10月21日から始まるWOWOWの連続ドラマW「片想い」(土曜午後10時)で、性同一性障害の主人公、日浦美月を演じる。

 「性の多様性」が注目される今、難役に挑む中谷は「性同一性障害への理解が深まればうれしい」と話す。

 原作は東野圭吾の人気ミステリー。大学時代にアメリカンフットボール部の女子マネジャーをしていた美月は卒業後、男性として生活し、クラブでバーテンダーをしている。アメフト部の同窓会をきっかけに元部員たちと再会し、「人を殺した」と告白。衝撃の事実が明かされていく。

 ミステリードラマだが、30代半ばを過ぎた美月や元部員が、さまざまなことにつまずき、「自分らしく生きたい」と願う青春群像劇でもある今作。美月役のオファーを受けた際には、「絶対に無理」と思ったという。「美月は男性ホルモンを投与しているという設定。私がそこまで体を近づけることができるのか…」。悩んだ末、ボディービル専門のトレーナーのもと、徹底的なトレーニングを積み、毎日、プロテインを摂取。腕は1・5センチ以上も太くなった。

 「中性的な雰囲気のある男性が演じた方がしっくりくるのでは」と思うこともあったというが、厳しいトレーニングをしても、なかなか理想の体になれないことが、結果的に役立った。「こんなに苦しい思いをしても、本当の男にはなれないんだ、と気付いた。美月の『どんなにあがいても本物にはなれない』という葛藤が理解できたのは、女性であればこそ」と振り返る。

 これまでドラマ「ケイゾク」(TBS系)や映画「嫌われ松子の一生」などさまざまなドラマや映画、舞台で活躍、個性のある難しい役柄を演じてきた。謎めいた雰囲気のある美貌は、男女を問わず多くの人を引きつけ、美月という役柄にぴたりとはまる。

 女性の体でありながら、女性を愛する美月の気持ちを少しでも理解しようと、撮影現場では、共演する国仲涼子(38)に「恋をしてみた」。その夫役の桐谷健太(37)をライバル視して、「三角関係」の苦しさを疑似体験したという。

 性同一性障害というテーマを、「物語の単なるエッセンスのように見られるのは避けたかった」と正面から向き合ってきた。「人知れず悩みを抱えている人がいる。多くの人に見てもらいたい」(三宅令)

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2017年9月19日 10時33分 産経新聞

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