【サッカー】<福田正博>「ハリルにスタイルなし、結果を求めるリアリスト」©2ch.net

福田正博 フォーメーション進化論】

 日本代表は、8月31日に行なわれたロシアW杯アジア最終予選のオーストラリア戦で完勝して、6大会連続6度目のW杯出場を決めた。

 今回のアジア最終予選は、日本が初めてW杯への出場権を獲得した1998年W杯の予選は別として、その後の2006年ドイツ大会、2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会のときのような楽な展開ではなかった。

 予選最後の試合だった9月5日のサウジアラビア戦に敗れて、終始苦しんだ予選を象徴するような終わり方になってしまった。だが、大きな重圧のかかったオーストラリア戦で結果を残し、張り詰めた緊張感から開放された直後だったことを考えれば、一定の評価をしてもいいのではないかと思う。

 この最終予選で日本代表は6勝2分2敗の成績を残したものの、試合内容に限ると、合格点を与えられるのはホームとアウェーのオーストラリア戦の2試合だけだった。

 ザッケローニ監督時代は、ボールポゼッションを高めて相手をゴール前に押し込み、パスで揺さぶりながらゴールを狙った。これに対して、ハリルホジッチ監督のスタイルは、ボールポゼッションにはこだわらず、高い位置でボールを奪い、素早く相手ゴール前へと迫っていく縦に速いサッカーだ。この、真逆ともいえるスタイルへの変更によって、選手たちは対応に苦心した。

 そうしたなかで、狙い通りに試合を進められたのがオーストラリア戦だった。アウェーで1-1の引き分けに終わった試合も内容はよかったが、先日のホーム埼玉スタジアムでの試合は、より理想的な展開で勝利をつかんだ。

 ホームで完勝できた要因には、井手口陽介、山口蛍というボール奪取能力の高い選手ふたりをインサイドハーフに並べ、その後ろに長谷部誠を置いたことが大きい。こうした布陣で臨むことができたのは、「オーストラリアがロングボールを捨てて、中盤からパスでつないでくる」というスカウティングをしっかりやっていたからだ。

 そのため、相手の良さを消しながら、自分たちの狙い通りの展開に持ち込むことができた。ただし、これはパスサッカーへの転換を図るオーストラリアが、自分たちのポゼッションスタイルを貫くことに固執したことが幸いしたともいえる。

 実際、日本代表の戦い方を研究してきたサウジアラビアは、その弱点を突くプレーを随所に見せた。この試合では、チームを離脱した長谷部に代わって山口をアンカーに据え、井手口と並ぶポジションには柴崎岳を起用したが、アンカーの山口の両サイドのスペースをサウジアラビアに使われ、攻撃を跳ね返すのに苦労することになった。

つづく

9/19(火) 11:43配信 
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170919-00010003-sportiva-socc&p=1